『サッカー日本代表とMr.children』多くの人の支持と人気を集める両者を論じた本が遂にに発売された。
桜井さんはサッカーフリークとして有名だし、
かつて代表の10番を背負った名波浩とは無二の親友でもある。
代表の主将を長く務め、試合前には必ずミスチルを聴いてピッチに入る長谷部誠。
両者の繋がりは非常に強いのだが、やっと、ロシアW杯で16強入りした後に発行された本書。でるの遅すぎでしょ。でも、これまで温めてきたものが満を持して登場したような、深さを感じる、素晴らしい一冊でした。ミスチル、サッカー日本代表のどちらかのファンは絶対楽しめる内容になっています。
内容紹介
宇野維正さんとレジーさんの対談形式で展開される。
宇野さんはロッキングオンの編集部に所属していたこともあり、実際にミスチルにインタビューをしたりとバリバリの業界人で2006年にはサッカー雑誌の編集に携わっていた。他に「1998年の宇多田ヒカル」「くるりのこと」などの著書があります。
一方レジーさんは、2012年に立ち上げた「レジーのブログ」での音楽分析が評判を呼び、複数の雑誌やウェブメディアに寄稿するというブロガーどドリームを成し遂げた、ミスチルファン歴、柏レイソルサポーター歴25年のカリスマブロガー。
本書では、時系列にそってミスチルと日本代表の軌跡、関連性を論じています
序章 ミスチル世代とはなにか
ミスチル世代とは…学生時代からミスチルの音楽を聴いて育ってきた世代のこと。年代にすると1983年〜90年生まれくらいの世代。
第1章 Jリーグとミスチルの共犯関係
ドーハの悲劇の93年以降、未曾有のJリーグブーム、日本代表にかかる期待、人気は日に日に大きくなっていた。時を同じくしてミスチルは「CROSS ROAD」や桑田佳祐との「奇跡の星」をリリース。国民的スターへの階段を登る。
第2章 1998年のMr.childrenとフランス大会
98年のW杯予選から本戦、その後までが主に論じられる。この期間ミスチルは活動休止期間に入り、W杯後の98年10月、「終わりなき旅」で復活。活動休止中に桜井が得たものとは……。
第3章 中田英寿が変えたもの
仏W杯後から日韓W杯までの期間。当時、代表を牽引してきた中田英寿にフィーチャー。「LOVEはじめました」での名波のくだりが面白い。名波の自伝のタイトルが「NANAMI 終わりなき旅」ってマンマすぎてしょ。
第4章 日本サッカーの日本化、Mr.childrenの日本回帰
惨敗したドイツW杯までの総括、02年から続いたサッカーバブルの崩壊。そしてサッカーの日本化を唱えたオシムの登場。一方ミスチルは桜井が脳梗塞で倒れてからの復活。桜井さんのフィジカルがアスリート化。Bank Bandで「沿志奏逢」では過去のJPOP曲をカバーする。
第5章 長谷部誠とはMr.childrenである
レジーさんが言うには「本書のコア部分といえる長谷部誠の章」最後のページの本田圭佑との関係性を示すエピソードが最高。時系列でいうと08年〜になる。
第6章 本田圭佑というMonster
長谷部に続いて、本田圭佑の特集。本田圭佑のプレーヤーとしての言及から投資家、ビジネスの傾倒への批評など膝を打つ内容。本田信者は必読の章。
第7章 自分らしさという檻
18年ハリルホジッチの解任からW杯が終わるまでの内容。その頃桜井は烏龍舎から独立し、ノブレス・オブリージュとしてサッカーとの関わりが深まっていく。
終章 平成が終わった後の日本代表とMr.children
平成を駆け抜けたミスチルと日本代表の総括と、平成後のこれからを記したまとめ。
ここがよかった
日本代表、ミスチルともにマニアックな情報が網羅されている。
サッカーと音楽に精通した宇野さんならではというか、トリビアがたくさんあります。
以下抜粋
・清水エスパルスのサポーターソングはribonの"S”ENSATIONAL WIND
・1998年2月、日本代表のFIFAランクは9位
・名波が初めてミスチルのコンサートに行ったのは1997年の活動休止前のツアーで浜松アリーナ
・本田圭佑は高校生の頃から試合前必ず「HERO」を聴いていたというエピソードがある
・02年時、桜井さんはつなぐことの大切さや全体を見ている感じがするという理由からフィーゴが好き
・桜井さん率いるフットサルチームジュビケンには名波や高原が助っ人できていた
・名波の自伝の構成、取材を担当したのは「最高の離婚」「カルテット」の脚本・坂元裕二
宇野さん、レジーさんの批評が的確
宇野さん、レジーさんがちょくちょく鋭い批評をしているところが痛快で面白い。
気になった箇所は付箋でも貼って写経しよう
以下要約
・「ありのままの自分を許容する」とか「本当の自分を探す」とか、そういった投げかけがミスチル世代に及ばしてきた影響には見過ごせないものがある
・大した実績や成功体験もないのに「自分に勝つ」とか言い出す人がこのあたりから、いっぱい出てきた気がする
・試合の分析や戦術解析よりも、プレーヤーのパーソナリティに寄り添った文章が主流だったように思います。自分はそれを「Number文学」って読んでます
・はっきり言っておかなければいけないんだけど、ある時期までの本田、特に日本代表にける本田は、本当に特別なプレーヤーだった。ここぞの場面での決定力は群を抜いており、歴代の日本代表においても比較できる選手がいないレベルだった
ここがダメ
7㌻目7行目「1987年生まれの乾と槙野」とあるが、乾貴士選手は1988年6月2日生まれである。おい、校閲!!仕事しろおおおお!!
日本代表とMr.children7㌻より引用
感想
ミスチルと日本代表。僕の人生において欠かせない2つを比較し、シンクロして論じた本書。間違いなく良書である。この本を読むと、代表戦やコンサートに足を運んでみたくなること間違いない。これからも、頑張れ日本代表‼頑張れミスチル‼